器をつなぐ
おかえりなさい、いってらっしゃい。
今日に至るまで瀬戸本業窯で作られ、送り出されてきた器たち。
そんな器たちを再び迎え入れ、手を加えて整える。そしてまた送り出す。
器が死ぬのはいつだろう。
壊れたときか、それとも使われなくなったときだろうか。
あまり知られていないことだが、死んだ器は元の土へ還ることはない。
だからこそ、器をなるべく長く生かすために、できることを続けようと思う。
育つ器
瀬戸本業窯の器は「育つ器」です。
使えば使うほど貫入に時代が入り、愛用度を増し、やがて古陶の姿を醸し出す。窯から出されたばかりの器は使われない限り無であり、使い手に渡り毎日毎日使い込み、食をうるおわせながら器の美しさが完成する。
使い手に長らく使い込まれた「育った器」の中には、欠けや割れの入ったものも多くあり、また引き継ぎ先がなく、残念ながらそのまま処分されてしまう場合もあります。本業窯ではそんな器を引き取り、次の使い手に繋いでいく取り組みを少しずつ始めています。
人手も充分とは言えない中で、製造の傍ら、金で継ぐなどの修理を施し、使える状態まで持っていく。作るだけでなく、再生することも同じように大切であると考えています。
もしお手元に壊れた器や引き継ぎ先のない器があり、処分に困られている場合は、ぜひご連絡ください。